38 えと・おーるつうしん38号 [2005.01.20] ■鳥山敏子講演会
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冬の食卓    by N.K


2004年、夏は一向に秋に季節を譲ろうとせず居座り続けた。遅い秋は冬を拒んだ。畑では10月中旬を過ぎても、なすやピーマンなどの夏野菜が豊作で、いつまでもビールは美味しく、夏と変わらない飲食を続けていた。
そんな暮らしの果てに、なんでもない日常の動作で突然腰に激痛が走った。しまった、この痛みはただ事じゃない。10月最後の土曜日のことだった。それでも翌日、痛みを我慢しながら車を運転し予定通りの外出をした。しかし月曜日、こじらせては大変、とにかく急場は凌がなければと、友人に紹介してもらった治療院で調整治療を受けた。ギックリ腰の原因は思い当たる。食生活がそれまでずっと夏型の体を緩める陰性のものばかりだったのだ。
治療士の先生の診断も私の予想と同じだった。一時間の治療を終えて渡されたのはサトイモ湿布だった。「サトイモパウダーを水で溶いて患部に貼りなさい」と。家に帰り、何度か張り替え、いつの間にか痛みは和らいでいった。
打ち身・筋肉痛などにサトイモ湿布がいいということは知っていたが試したことはなかった。この初めての体験でサトイモへの認識がすっかりかわった。
老父は毎年畑の端っこでサトイモを作り、朝夕に冷気を感じる秋になると一株ずつ掘ってくる。老母はそれを煮物にする。きっと、祖父と祖母もそうしていただろう田舎の食卓は、子供心にちょっとうんざりで、「またあ?」と思いながら、きっとまずそうに食べていたことだろう。そんな暮らしが何十年も続いて、昨年暮れに父が、「サトイモを作るのを減らそう、どうせたいして食べないのだから」と母に言っていた。

腰痛対策として「一日2万歩歩きなさい」という治療士の先生のアドバイスは結局一日も実行できなかったが、食生活はすっかり変わって、ビールを控え、根菜類や冬野菜をしっかり摂るようになった。おかげで一度だけの治療で腰痛はすっかりよくなった。そして、今まで煮物や汁物くらいしか出番のなかったサトイモが、揚げたり、焼いたりとどんな調理でも出来ることを知り、サトイモの美味しさもしった。
去年までの私のように、サトイモは苦手と思っている人に、この冬とても美味しかったサトイモ料理をお教えします。

★一番簡単なのは、タワシでゴシゴシと洗ったサトイモを220度に熱したオーブンに並べ、30分ほど焼くだけ。
焼けると皮が簡単に剥けます。シンプル料理にはシンプルに岩塩を振りかけていただく。味噌味でも好みのソースでもいいと思いますが。

★揚げ物のついでに、皮をむいて、7〜8ミリの厚さにスライスしたサトイモを、素揚げにしたり片栗粉をまぶして揚げたり。
これも塩味だけで。おいしい塩は素材の味を引き立ててくれるようです。

サトイモまんじゅう
1)サトイモは皮を剥いて湯がき、よくつぶしておく。
2)にんじん・ブロッコリーの軸などは固ゆでし、しいたけは小さく刻んでオリーブオイルで炒め、塩こしょうで味付けする。海老、鶏肉、銀杏などを加えても美味しい。
3)1)に2)を加え、コロッケより小さめに形を整え、片栗粉をまぶしてオリーブオイルで揚げる。

冷めないうちに好みのソースでどうぞ。

サトイモ湿布の作り方
サトイモの皮をむいてすりおろし、これに同量の小麦粉としょうがのおろし汁少量をまぜてよく練る。これをガーゼに厚くのばして痛い部分に湿布する。肩こり・歯痛・のどの痛みに効果があるそうです。
ねんざや打撲にはしょうがの代わりに酢を加えるといいそうです。

サトイモは、昔から「いもぐすり」と呼ばれる台所薬だったそうで、料理だけでなく外用薬としてとても効用があることを知ることができたこの度の腰痛体験も悪くはなかった思う今日このごろです。
こんなに輝きだしたサトイモを父はきっとこれからも今まで通り作ってくれることでしょう。


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