19 えと・おーるつうしん19号 [2001.11.15] ■竹内敏晴講演会へのお誘い
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「青少年問題シンポジウム」に参加して       by M.I

〜基調講演 『だから、あなたも生きぬいて』 弁護士 : 大平 光代

 11月10日に行われたシンポジウムでは、1時間の基調講演に引き続き、1時間15分のパネルディスカッション『21世紀を担う青少年を育む〜大人の思い、子どもの思い〜』が行われました。

 会場では高校生のボランティアの人がたくさん、スリッパや靴袋を配るお手伝いをしていました。参加者の2割くらいは学生だったでしょうか。前の方に座った学生さんたちは、大平さんに会えるのを楽しみにしていたらしく、フロアからの声を聞く際も何人もすっと手が上がり、「大平さんの前で発言したくて・・・」と、感激した様子だったのが印象的でした。
 話初めに少し笑いを取る場面がありました。そのとき大平さんは「笑いが少ないですねぇ。今のところで笑わんといつ笑います? 私の話はどうしても重いですから一生懸命聞くと身体に悪いです」と、やさしい声の大阪弁で静かに語り始められました。

 「癌におかされたお父さんを喜ばせたい一心で死に物狂いで勉強し、司法試験に受かった。3人で写真館に行き、弁護士バッチをつけて記念写真を撮った。それからは、両親の欲しいものは全て買って届けた。それが親孝行と思っていた。でも、そんなことは親孝行ではなかった。刺青を入れるとき、鼻血を出している父を、それ以上にけり続けた。そんなことをし続けたことは、生涯私の記憶から消えない。消したくても消えない。私は、非行に走った私が弁護士になった姿をみてもらいたくて、皆さんの前で話させてもらっているのではない。私がしてしまった失敗を、子どもたちにはしてほしくないんです。私がこうして話すことで、ここに来ている人たちが、それを考えてほしい、そんな思いから恥をしのんで、こうして話させてもらっています。私には、割腹自殺を図ったときの傷が内臓にあります。そして、背中の刺青はやけどといっしょですから、皮膚呼吸ができません。こうして1時間以上話をすると、痛み止めを飲まないと身体が痛くて、眠る事もできません」と話されました。
 また、大平さんは「私は英語が全く分かりませんでしたから、単語を一日に50個ずつAから覚えようとしました。でも、すぐにあきてきます。それでも弁護に英語が必要だったので、続けていると、楽しくなってきました。世界中の言葉ができたら、世界中の子どもたちとじかに話ができる、そう思ったら、嬉しくなって、英語の後、中国語や韓国語、今はマレー語を勉強しています。子どもたちが、ゆっくりと考えられる環境を、大人の人たちは整えてあげてほしい」と言われていた。
 最後に発言したフロアの女子中学生は「私たちには、いろんな思いがあるんです。私も、友達も、言いたい事がたくさんあります。でも、そういう場が少ないです。大人と子どもが話せる場を、もっと作ってほしい。意見を言える場を作ってほしい。そして、私たち子どもの声を、親身になって聞いてほしい」と発言しました。パネラーの高校生や、フロアの男子高生からも「大人のマナーが悪い。子どもが大人に説教する時代がきてもいいんじゃない? 忙しくて、人のことなんか考える余裕がない、人の話も聴くゆとりがない。もっと話を聞いてほしい」と話していた。


 大平さんは、発言したフロアの学生たちに、丁寧に言葉をかけられた。「応援してるからね」と。最後の挨拶でも「直接声を聞けなかった子どもの皆さんのことも、私は、応援してるからね」と会場を後にされた。大人の私も、この言葉が素直に嬉しかった。



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