45 えと・おーるつうしん45号 [2006.03.30] ■竹内敏晴レッスン
■最近のいろんなこと20
■あさがお新聞vol5
■口先徒然草
■一人前になりたかった
■げんきだよりNo.50
■こんちゃんのこの世的...
■ようこそ絵本の世界へ


ようこそ絵本の世界へ 講演会のご案内  by N.K


1月、堀江貴文という、桁違いにお金儲けの上手い青年の起こした「事件」は大きく報道され続けました。新聞を読むたび、ニュースを見るたびに心が痛みます。
そして、思い出すのは、気になるあの人物です。あの王様はその後どんな人生を送ったのでしょうか?

ギリシャ神話で有名なミダス王は、すでに充分お金持ちだったのに、神様から一つだけ望みを叶えてあげようと言われて、大喜びして、自分の触れるものすべてが黄金になるようにとお願いしました。神様は、それはとんでもないことだとはおっしゃらないで、きっと苦々しく思われたでしょうが、王様の望みを叶えました。
王様は大喜びで、そばにあるものにそっと触れてみました。
テーブルが黄金になりました。庭に出て、木に触れました。木は黄金になりました。
王様はうれしさのあまり、飲むことも、食べることも忘れて、手当たり次第触れました。彼が触れるものすべて黄金になりました。
ふと、空腹に気付きました。ぶどう酒を飲もうとして触れると、ぶどう酒が黄金になりました。パンをたべようと、パンに手を触れると、パンも黄金になりました。
ミダス王は、飲むことも、食べることも出来なくなりました。

こんな神話が伝えられているということは、どの時代にも、際限のない所有欲をもつ人がいたということでしょう。しかし、それはハッピーに終わるはずがありません。それなのになぜミダス王を目指す人があとをたたないのでしょうか。「団塊の世代」と呼ばれている私たち世代が大切に育てた「団塊ジュニア」たちは優秀で、親たち世代をとっくに越えていると、とても好ましく思ったりもしているのですが、でも一方で、私たちは彼らに何か大切なものを伝え忘れていたのではないか、精神のリレーができていなかったのではないかと不安になります。

キリスト教の神様はただ一人で、一神教といわれています。それに対し、日本の神道では八百万の神様がいて、多神教といわれます。仏教では何人ぐらい仏様がいらっしゃるのか知りません。一神教ではないようですが、多神教とも言わないようで、もしかしたら宗教ではないのかとも思ったりします。
一神教ではない方から、キリスト教は排他的で、攻撃的で、戦争が好きで、現にイラクに対しても、キリスト教国が戦争を仕掛けたじゃないかと、短絡的な攻撃を受けると、キリスト教的思考に馴れ親しんでいる私はつい反論したくもなります。でも、一神教か多神教かなんて悠長に論じ合っている間に、気がつけばジュニアたちは、どちらも必要とせず、新しい神様、ご神体は金ぴかの、拝金教に席巻されていたのです。いえ、それは団塊ジュニアたちだけでなく、どの世代にも、どこの国にも蔓延しているようです。

そんなことを思い巡らしていると、なんだか気の重い春ですが、諦めて立ち尽くすより、ささやかでも希望を持ち続けたいと、久々、「はこべ会」で講演会を企画しました。
子供たちに、他人の痛みが分かる人になって欲しい。豊かな想像力をもつ人に育って欲しい。でもそのためには、まず、わたしたち大人が、他人の痛みを感じることができるように、豊かな想像力がもてるように、思考を柔軟にすることができるように、そんなことを願いながら、一緒に絵本を楽しむことから始められたらいいなと思っています。

「ようこそ絵本の世界へ」――聞くよろこび 読む楽しさー
 講 師:吉井 康文氏
 プロフィール: 関西学院大学を卒業後、書籍取次ぎ会社を経て、現在こぐま社常務取締役。そのかたわら、講演活動や絵本研究の講師を務める。また、幼稚園で月一度、絵本の読み聞かせを行っている。芦屋山手教会教会員、芦屋甲陽幼稚園理事。東京在住。

 日 時: 2006年 5月13日(土) 14:00〜15:30
 会 場: 水島サロンコミュニティープラザ A
 主 催: はこべ会 (レモングラス内)
 参加費:500円
 後 援: 倉敷市教育委員会
 問い合わせ:TEL/FAX 086−456−6336


はこべ会とは

この名称で活動を始めたのは1991年です。
市民グループでちょっと大きなイベントをしました。倉敷市立美術館で日本画家、三橋節子さんの回顧展を一ヶ月間開催するというものでした。無謀な計画を実現させるために発行したのが「はこべ通信」でした。その後、便利な暮らしより安全な暮らしをと呼びかけ、「月刊はこべ」を24号まで発行しました。「平和薬をはこぶ風船」という現代アートの作品名から、わたしたちもいい情報をはこべますようにと願いを込めて名付けました。
廃油石鹸をつくり、その売り上げを、ケニアにある孤児院マトマイ二・チルドレンズ・ホームへ送る活動はいまも続けています。倉敷からケニアへ渡った菊本照子さんが園長として、孤児たちの自立支援をしています。
「最近の孤児院からの便り」
ケニアの大旱魃はニュースで伝わっているでしょうか、餓死者も出ています。マトマイ二では畑の野菜はやっと収穫できるものの、牛やヤギ、ウサギや鶏の餌に困っています。子供たちの食事代も3倍かかります。どうか雨が降りますように。(2006年3月20日)



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