45 えと・おーるつうしん45号 [2006.03.30] ■竹内敏晴レッスン
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竹内敏晴「からだとことばのレッスン」

2006年 3月18日〜19日

竹内レッスンを受けたあとは、からだや気持ちがやわらかくなる気がする。
発話や動きのテンポが遅くなり、それだけゆったり反応しているという実感がある。

今回のレッスンは「からだ」と「表現」に集中していた。
「からだゆらし」にしっかり時間がかけられ、「動物になる」「劇の役柄になりきって動き、せりふを言う」といった「からだとことばを使った表現」で終わった。

本当のところ「呼びかけ」のレッスンや「出会い」のレッスンの方が、初めて参加された方には直接的に「自分の今」を実感することになって、わかりやすいかと思う。主催者としてのわたしは、今回初めての方が多かったので、そのことが気になっていた。でも、途中でハタと気が付いた。

岡山で4年間レッスンをして来られた竹内さんが、その流れの中で私たちには「表現」が必要だと思ったんだと。
「呼びかけのレッスン」で自分の声が相手に届かないことを自覚することは、強烈な体験だ。私がレッスンを始めたのもその衝撃的な体験があったから。
でもいくら「気づいて」も、それだけではなかなか変わらない。レッスンのときに一瞬自分の声があたたかくやわらかいものに変わったと思っても、入れ物であるからだがゆるやかになっていかなければ、本当には変われない。

「からだ」が喜ぶという感覚――今回の表現のレッスンは文章で表すのが難しい,そんなほわっとするものだった。

レッスンの終わりにみんなで輪になって竹内さんに質問をしたり感想を言い合ったりする時間があった。からだということについて私は次のような感想を述べた。

まずからだが緩やかでなければ,ことばも声もはじまらない,ということが実感できました。私は精一杯生きているとは思うけど,わたしという入れ物は小さくてきちきちしていて,そこから出ることばは相手に窮屈な思いを与えているんだと思います。私は春の日差しのような母でありたいと思って生きてきたのに,この小さな入れ物からいっぱいいっぱいに出すことばや声はこどもにとって心地よいものではなかったんですね。人生を終えるまでに少しでも広い大きなやわらかい入れ物としての母になりたいですね。

それに対して竹内さんは「あなたはいつもまず「こども」だね。「こどものために」がまずあって,「あなた」としての主張は出てこないね。それが本当にこどもにとっていいことなのかどうか,わからないけど」と言われた。

やさしい口調だったけど,それが意味することは私にはよくわかった。まず「私にとって心地よいからだ,ことば」が先なのに,私はわたしを大切にしていない。そうだ,レッスンに対する姿勢と同様,私自身の「方向性」も逆なんだ。

私は「わたしをまず一番に置けない状態」を自覚している。それはおそらく私の中にまださびしい小さな「こども」がいるからだと思う。「こどもの自分」を癒す方法として,大人の私が昔して欲しかったことを我が子にしているんじゃないかな。これは本当にこどもを大切に思っていることとは違うのかもしれない。そんなからだの私がこどもにとってゆるやかな母でありようがない。
順番が逆で,なんだか方向性が間違っている自分を感じた。

レッスンでゆるやかなからだになったとき,頭でしか理解できていないことがすうっと入ってくるから不思議だ。今はまだいろんな思いが交錯しているけど,からだは少し軽くなった気がする。

皆さんからメール等でいただいたメッセージをご紹介します。

は ざ ま
土曜、日曜と大変お世話になりありがとうございました。
あたたかい雰囲気の中竹内レッスンがひらかれ、参加できて、とても感謝しています。
今回はからだのことでとても動きまわったので前回とはまた違った気づきがありました。ゆらしは竹内さんのレッスンですべてに通じる、根っこのようなものかな・・と今回思いました。
年明けから、落ち込みの連続で、自分を守るためにふんばったり、無理したりしていましたが、結構、限界にきてたのかな・・とレッスンをうけて思いました。
私の朗読もきいてくださってありがとうございました。自分は、教員をしていたときも、誰にも語りかけてなく、自分の中の躍動も感じる余裕もなかったのですが(そもそも、自分の中に生き生きしているものがあったのかも疑問です・・)
朗読してみて、みなさんの感想を聞いて、数年ぶりに自分の授業のことを思い出し、そもそも竹内さんの本を読み始めたのは、それが苦しかったからだったな・・と思い出しました。
今回のレッスンでは、自分の今の状況もあって、すごくぐらぐらとしているところもありますが、ぐらぐらしている自分とあえたことを少し考えてみようかなと思っています。

さるすべり
今回のワークショップは、私が今まで自分の中で悩んできた事の終着駅でもあり、またそこから一歩進む力を与えてくれました。
あの場にいて、ひしひしと感じたことは「みんな本当に優しい人たち。だから沢山傷ついているんだな。そしてそれでも、一生懸命生きているんだ。」ということでした。
竹内先生を囲んだ最後の時、Nさんが、お嬢様のことについて話された時は身が切れる思いでした。私も両親と少しいざこざを起こしていました。自己中心的に振舞い自分も人も傷つける私に、いつも最後には支えてくれている両親。いい歳にもなって彼らを喜ばせることもできない私。はやく大人になりたいと思っていました。
今回のコークショップで一つ、私の中で決着がついたので、また気持ち新たに自分のペースで前に進んでいこうと思います。

U.Y
自分の身体が硬くなっていて,声も出難いことがよくわかりました。「鹿踊りのはじまり」の劇はとても楽しかったし,宮沢賢治がこんなにも豊かに表現されていたことを今まで味わえていなかった,今回はキラキラ輝くような自然,生命の世界を感じることができました。人間は素敵だなあと思えました。
1978年創元社から出た竹内さんのレッスンのビデオがありました。若き日の竹内さん(といっても1925年生まれなのですからビックリ!)を味わわせてもらっています。

※次回の竹内敏晴「からだとことばのレッスン」は
  2006年11月 3日〜 4日の予定です。




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