「円満別居」ほどよい距離
友人のAさんが夫との「円満別居」を始めた。Aさんには離婚の気持ちはない。ただ、夫とぶつかり合う日々にちょっと疲れて、距離をおきましょうということらしい。夫も別れる気はないので、妻の思いを尊重した結果だ。こう書くとなんだかさらりとした感じだけど、実際にはそこに至るまでには、喧嘩、涙、怒り、すれ違い・・・の日々があった。夫婦の葛藤にスマートなものなんてない。
Aさんの話しを聞いていると、やはり自分たち夫婦のことを振り返らずにはいられない。Aさん夫婦の葛藤の軌跡は私たちにも当てはまること、いや世の中の多くの夫婦に共通したものだと思う。
久しぶりに過去のいくつもの修羅の記憶がよみがえってきた。「うちも、こうだったんよ、ああだったんよ」話は終わることがない。
今、夫との関係は平穏だ。子どもがそれぞれ自立していき、夫も単身赴任。ほどよい距離がこの平穏の原因のひとつだろう。お互い顔を突き合わせてエンドレスのぶつかり合いの果てに、離れてみて客観的に見られることもある。
もちろん離れることで、お互いの存在を再認識する結果ばかりではなく、情も薄れて本当に別れたなんてこともあるかもしれないが。
Aさんの別居トライアルは、夫婦関係における、次のステップへのイニシエーションなんだと思っている。
逃げたくなる
「えと・おーるつながり」の友人2人と一緒に「うらじゃ」踊りに参加するグループに入っている。はじけてみたいという気持ちがあったからだ。
しかし、私はこの1ヶ月以上忙しくて練習も衣装もできてなかった。
先日が最後の総練習ということで、衣装の作り方も確認しなければいけないと思い、遅れてだが、とにかく行ってみた(こうなると「楽しむ」というより「義務感」だ)。
すると、踊りの細かいところはすっかり忘れているし、フォーメイションも変わっていた。当然まちがえてばっかり。
「そっち向いてどうするん〜。お客さんの方を向かにゃあ」とサブリーダーに言われ、ああ、これは舞台用のフォーメイションだったんだと初めて思い出す始末。
「この人大丈夫かなあ」というわけでいろいろ指導が入る。ありがたいことだ。リーダーたちは踊りの振り付けから考え、いい踊りにしようと一生懸命なのだ。ところが、その思い入れというか、一生懸命な気持ちが伝わるにつれ、私は苦しくなってきた。どうしてかなあ。
自分でも「みんなに迷惑かけてはいけないし一生懸命練習しなきゃ」と思っているのに、サブリーダーの善意の指導が入ると「私はこの人を困らせている」という気がしてきたのだ。これは私の性格もあるのだろうが、「まだ衣装もできていないし、これから練習する機会もないし、申し訳ないからここで参加を止めたほうがいいかもしれない」なんて思い始める。また同時に「でも、今やめるというと誤解されるかもしれないし、悪いし、・・・ああどうしよう」とも思い、頭の中は練習しながらも忙しい。こうなるともう「踊りを楽しむ」ゆとりはなくなる。
見かねた友人が、夜に個人指導に行くからと言ってくれた。それで私はやっと「迷惑かけないように逃げる」というネガティブな思考から「迷惑かけないようにがんばる」という思考に転換することができた。やれやれ。
そのとき実感したこと。できない子に一生懸命教えるとき、その一生懸命さが焦りとか不安というメッセージになって伝わる場合があるのかもしれない。子どもによっては、自分でも困っているのだからもっと困ってしまう。「指導に応えなきゃ」と思ってがんばろうとするのだけど、実際には追い詰められて「デキナイ」と言って逃げ出す結果になるかもしれない。
やる気がないわけじゃないんだから、子どもが本来持っている「できるようになりたい」という気持ちを信じて、距離をおいて一呼吸、ということも必要なんだろうな。
ドリーミングトゥモロゥの「夏 もくもくコンサート」
7月31日、八角園舎でドリーミングトゥモロゥ(知的・発達障害を持った子どもたちの音楽活動グループ)の11名による発表会があった。始まる1時間前、雷と激しい風を伴う雨。どうなることかと思ったけれど、風雨がおさまり、窓を開け放した園舎に涼しい風だけが残った。
木造の古い建物はやさしい雰囲気を与えてくれる。
なごやかなコンサートになった。
初めてこの子達の発表を聞いたのは、4年前、ふれあい西センターだった。大きな会場、他の団体との共催、ということもあっただろうけど、子どもたちも指導する先生も緊張していたように思う。息をつめて聞いた記憶がある。
あれから毎年コンサートのたびに、子どもたちが少しずつではあるが伸びていることを目にしてきた。健常児の歩みから言えば本当に少しの成長かもしれないが、それでも着実に成長しているのだ。
今日1年ぶりに見る子どもたちは背丈も伸び、こころもからだも大きくなっていた。「安心」ということばが浮かんできた。子どもたちの育ちを確信できる安心。先生との関係に対する安心。失敗しようが、緊張しようが、起こることすべてに対する安心。
ゆったりとコンサートを楽しんだ。
さよなら、またね!
この通信でも何回かイベントを紹介したことがあるギャラリー喫茶「Life&Art青空」が20年にわたる営業を終え、岩手県一関市に引っ越すことになりました。古ぼけた木造のお店やオーナーの東海林さんのやさしい笑顔とも、8月でお別れです。今「私の着たい服―仕立てや京手作り服」展を開催中です。一度訪れてみられてはいかがでしょうか?
牛窓町牛窓4178 TEL 0869-34-5133
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