20 えと・おーるつうしん20号 [2002.01.20] ■竹内敏晴講演会 1/2
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あらためて知った子どものすばらしさ
                 by T.T(岡山D&Lスクール)


 竹内さんの講演会でスタッフだった私は、会場整理を担当していたこともあって、講演はあまり聞けませんでした。そこで、この場を借りて子どもさんを相手にして感じたことを書きます。

 普段私は、LD児やその周辺の子ども達と携わっていて、なかなか「普通」のお子さんと接する機会がありません。
 LD児やその周辺の子ども達の特徴として、ことばの遅れ、学習の遅れ、対人関係に弱さがあります。
 その原因の一つとして考えられるのが、幼児期から学齢前期における「遊び」の発達の未熟さがあげられます。例えば、5歳を過ぎても異常に水遊び・どろんこ遊びが好き。また、テレビなどを見て見立て遊びはするのだが、そこから発展していかず、大人の社会生活を取り入れた「ままごと遊び」ができない等の問題点が多くのLD児の場合見受けられます。遊びに対する態度も、どちらかというと受け身で、積極性が見られません。
 これに比して、講演会当日お相手した子どもさんは明らかにちがっていて、遊び道具がまったくない中、目を輝かせて積極的にダイナミックな遊びを展開してくれました。

 まず最初は、コピー用紙を使ってお絵かきをしてもらいました。大きい子は花やお人形の絵を、小さい子は丸を描いたり四角を描いたり、それぞれ思い思いの絵を描いてくれています。そのうちに近くに置いてあったハサミをめざとく見つけて、チョキチョキチョキと切り始めます。それが終わると、ハサミの横にあったセロハンテープを当然のように出してきて、張り付けてなにやら物を作っています。
 それを30分ぐらい続けたら、今度はソファーで遊びだしました。初めのうちは上に乗ったり降りたりしていたのですが、そのうちその前に座ってピアノに見立てて演奏会の始まりです。大きい子が始めると小さい子もそれに習って連弾が始まります。
 しばらく連弾を楽しんでいましたが、うろうろとし始めます。その目は何か面白いことはないかという好奇心に満ちた目です。

 ここからいよいよ私の出番のようです。手のひらを上にして出すとみんな乗ってきました。パチンパチンとたたいてきます。時々その手を捕まえてあげるとみんなキャキャと言ってたたきにきます。もうこれで遊びの成立です。
 子どもたちはどうやって私の手から逃げてやろうかと、嬉しさを体いっぱい表現してたたきにきます。何のたわいもない遊びですが、一番生き生きしています。考えてみると、これが今までやってきた遊びの中で私との体の接触が一番ある遊びなのです。
子どもとの遊びは体でコミュニケートするのが一番なのかなと今あらためて思いました。またこのことは、子どもたちのコミュニケーション能力の高さに驚かされた事柄でもありました。
 ただ手のひらを上にして出しただけで、私の意図を察知して手を出しにきてくれるのです。子どもは彼らなりに高いコミュニケーション能力を持っているのだなあと感心させられるときでもありました。この点に関しては大人以上かもしれません。

 さて、ほんの1時間程度ですが、子どもたちに遊んでもらいながら、何と遊びがうまいのだろうと改めて感心させられました。
 私たちはボランティアで、LD児たちに遊びの時間を提供しています。そこの子どもたちは先日の子どもたちのように遊びを積極的に"自分から開発して"いけません。何らかの形で援助が必要です。それでも根気よく続けていると、だんだんと遊びがうまくなっていきます。何とか効果的な指導法はないものかと、考えながらやっているのですが、今回の貴重な経験を生かして、LD児たちに何らかの形で還元してあげたいと思っているところです。



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