40 えと・おーるつうしん40号 [2005.05.30] ■ふぞろい野菜村便り
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口先徒然草25 「榊」    by T.S


わたしの事務所の駐車場の片隅に大きな木がある。
榊だ。

 随分前に船井幸雄の影響を大きく受けていた頃、わたしの守護神が「高千穂の神」だと分かり、何気なくだが高千穂神社に行きたくなった。
丁度、わたしの長女が産まれた後で、彼女もそれに関係していることもあり、結局家族一同で行くことにした。 

 で、宮崎の田舎の田舎の山奥まで延々と移動を続け参拝をした。
近くに「天の岩戸神社」があると聴いたのでついでに参拝にも行く。
参道を抜け本殿に入ると、その周囲に沢山の大きな大きな榊が生えていて、厳かで静寂な雰囲気を醸し出している。
その榊に感動し、神社で売っていた「榊の苗」を買う。 

 この榊の苗、自宅に植える所がなかったので事務所の駐車場の隅っこにその苗を植える。
小さなか弱い苗であり、また同じ時期に植えたサクランボとか、蜜柑・柚子等々の実のなる樹木のように花をつけ実を育てる派手さもなく、誰にも気に留められることなく駐車場にて存在感のないままに静かに育ち続ける。

 今年長女は中学に進学をする年齢になり、それなりに小学生から娘に育ったな〜、と彼女の成長が眩しく写るようになる。
そして、ひ弱かった榊も気が付けば事務所の屋根と同じ高さに伸びていた。何度となく強力な台風の強風に震え脅えながら耐え抜いて、立派に大きくなった。

 今では榊に沢山の昆虫が集まり住処としているし、小鳥もよくよく止まっている。暑い夏には陽射しを遮り、落葉のしたの生命を優しく守っているかのように思える。
この榊がやってきてもう12年だ。
そして、長女も12歳。
輝く成長が両方が伝わり、嬉しく思う。

 長女は中学進学で環境も変わり、それなりに厳しい時間を過ごしている。そして思うように進まぬ我が身に、勇気を挫かれているときがある。
彼女なりに次のステップに入っているのだろう。

 何気なくだが、そんな長女が事務所に来たとき、年寄りが「この榊はお前と同じ年だ。こんなに大きくなって周囲の生命の成長を助けてるぞ、お前も同じ年なんだから些細な事にとらわれず「ど〜んと大志を持て」と励ましていた。
聴きながら、押しよりにしてはいいことを言うじゃん。と思う。
そして、私もそう思う。

 そうだ、この榊の様に太陽にむかって「ど〜ん」と育ち伸びるように、お前も頑張れょ



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