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えと・おーるつうしん30号
[2003.09.05]
■べてるの集いと対談…
■ちょっと変わった夏休み
■ふぞろい野菜村便り
■口先徒然草16
■旅物語 らくだに乗って
■この青い空の下で…
■ハロー,パーティ!-3-
口先徒然草15 「ハラペコ青虫 その後」 by T.S
今年の春頃に我家の長男坊は「青虫」探しに東奔西走し、探しながら「青虫」とは一体どんな生物を言い、どの虫が「青虫」に該当するのかを考え・迷い、創育舎から始まる「青虫」探しで文字通りの迷走をした話しを前々回だったか書きました。
その後、「黒色をした青虫」は成長し,大きくなると鮮やかな緑色と黒色の光沢のあるアゲハ蝶の幼虫になりました。「あれれ、まーあ見事な青虫ちゃんに育ったものねー」と皆で青虫を観察しました。
この時、家内は勝ち誇った言い方で「どうですかー、見事なアゲハ蝶の青虫になったでしょう」と、ほぼ水戸黄門の印籠を出すかの雰囲気を漂わせ「どうだー」と言わんばかりです。
「いゃー、流石は創育舎の青虫はー味違うよー、これは。そんじょそこらの青虫と違って、こうなんと言うか、輝いてますょ、ホントに !!! このやせた青虫がY先生青虫で、やや肥満気味の青虫がT先生青虫かね」とか言いながら、家内と子供達に城内父さんは間違いを認めまして、ひとまず蜜柑の木の葉っぱを「輝く青虫」さんに差し上げることにしました。
そして我家の蜜柑の木の葉っぱを食べ始めます。
我家の蜜柑の木は植木鉢にある小さな木でして、青虫が本気で食べ始めるとほぼ一週間で葉っぱは無くなるのです。そうなれば、この蜜柑は枯れてしまうかなー、枯れはしなくても蜜柑の収穫はまず無理だろうなー、と思いました。
青虫達って、その辺の所有者に対する気遣いがないので、ある時にあるだけ食べておこうと必死に食べ続けるのです。彼等にとっての今の使命は食べるだけ食べて早く蛹になることで、それが現在の大事な仕事なのでしょう。ですから、バリバリと音を立てながら貪欲に葉っぱを食べ続けるのです。
「そんなに音を立ててまで食べるなょ」
何かに追われるように、バリバリと食べ続けるのです。せっせと食べ続ける青虫を見ながら、ふと「そんなにガツガツ食べるなょ」「肥って出荷したら、お前も食べられるんだぞ」って豚の話しを書いてある絵本を思い出しました。
近づいて青虫を突つくと、彼等はオレンジ色の口を広げて生臭い匂いを出して私を威嚇します。そして、少し様子が治まるとまた食べ始めます。お前等は、本当に食べるのが仕事なんだな。わき目も振らず一心に食べ続ける青虫を見ながら、つくづくそう思いました。
そして、数日後,なんと、青虫が一匹も居なくなっていました。
あれれ、何処に行ったのだろうか。蛹になるには、まだ早い。餌の葉っぱはまだ蜜柑の木に残っているのに、一体どうしたのだろうか…。
行方不明の青虫探しを少し続けてると、上空を燕が飛んでいました。あれれ、もしかしたら燕の餌になったのかなっ ???
あっちゃーー、食べられちゃったのかなー。どうも、そんな雰囲気なのね。
弱肉強食―自然の掟とは言え、流石に驚きました。
確かに、燕も子育てを早くに済ませて南の国に帰らねばならず、一刻も早い雛鳥の巣立ちが課題ではあります。そして、燕の雛達もカラスの餌になる可能性が高い。
早い成長を望み食べるのが仕事なのは青虫に限らず、燕の雛も同じなのです。近所の燕の巣を見ると、5羽の燕の雛が大きな口を空けて親鳥からの餌を待っていました。
少し寂しいハラペコ青虫物語でしたが、顛末まで。
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