28 えと・おーるつうしん28号 [2003.05.25] ■私なりのシュタイナー
■「集団遊び欠乏症」と…
■魔女の食卓
■口先徒然草13
■旅物語 らくだに乗って
■やってみたい!ことを…
■ハロー,パーティ!-2-


5月21日,22日の2日間,美作賢治の楽交主催で,ドイツ・ニュルンベルグのシュタイナー幼稚園代表 ダークマー・リカー先生の講演が開かれました. テーマは「シュタイナー教育の可能性:幼児期の子どもを考える」です. 「すごくよかったよ」とメールを寄せてくれたGASHIMO-KUN(1児の母)に感想をお願いしました

わたしなりのシュタイナー    by GASHIMO-KUN


 先日津山で開かれた講座「シュタイナー教育の可能性:幼児期の子どもを考える」のうち1日目に行われた講演会に参加してきました。講師はドイツからいらっしゃった現役のシュタイナー幼稚園の先生でした。

 私は詳しくシュタイナーを勉強しているわけでもなければ、実際我が子に際立ったシュタイナー教育を実践しているわけでもありません。だからこれはその講演会を聞いた「私なりの」解釈での「シュタイナー教育」です。熱心に勉強されている方から見たら考えが甘い、中途半端と思われるのかも知れませんが・・・。しかも2日間あった講座のうち、1日目の午前中しか出ていない。そんな私の感想ですが、どうぞお付き合いください。

 私がシュタイナー教育と言われてまず思い浮かべるのは・・・色々ありますがパッと思いつくものは「テレビはなるべく見ない」「自然素材のおもちゃで遊ぶ」「子どもの頃から手仕事をする」などと言ったものです。皆さんはどうでしょうか? そしてこれは、逆に言えば私が子育てをする上で、シュタイナー教育を実践しようとしまいと、「なるべくなら」と、気に留めていることでもあるのです。「なぜそんなこと気に留めるの?」と聞かれたら・・・ただ単なる好みの問題かもしれません。うまく説明できないのです。

 私にとっては「必ずそうでなくてはならないもの」ではありません。言いかえれば「できればそうしたい・・・くらいのいい加減なもの」です。要するに「絶対だめ」「何が何でもだめ」という風に杓子定規に考えるのはしんどいだけです。
 でも今回の講演会で講師のダークマー・リカーさんがおっしゃったのを聞いてシュタイナー教育の根底に流れるものがすごくわかりやすく心の中に入ってきて、私の子育て感や考えを整理することができました。

 「テレビを見せてはいけない。これはテレビの内容如何でもなければ、テレビが教育上良くないというのでもなく、シュタイナーの『説明されたり、概念を誰かに教えられることを通して、何かを得るのではなく、すべて体を通して得るべきだ』という考えのもとに言われています。『花』を見て『花』とわかる。『犬』を見て『これは犬だ』と思う。これらの概念は全て自分の身体を通してしか得られない。人に教えてもらったり、メディアを通してでは得られないものなのです。」
 うん、なるほど。先程うまく説明できないと言いましたが、これが言いたかった!という感じです。

 そして「シュタイナー教育では幼児の間に『人間』を感じられるということを大事にしています。『人間的なもの』『人間らしいもの』『人間味のあるもの』をです。テレビも絶対だめというのではなく―現代の日本ではそれを完全に避けてしまうのが非常に難しいと言うことを私も実感しました―親子で一緒に見るとか、見た後それについて話し合うとか『テレビを通して人間と関わることも可能』だと思うのです。
 テレビの前に一人で子どもを座らせたまま・・・自分の子どもをメディアにすっかり渡してしまうことができますか?それが子どもの本当の要求、深い心底からの要求だと思いますか?」とおっしゃいました。

 私は「これが聞きたかったんだ!」と思いました。
 「これをしたからシュタイナー教育」「そんなのシュタイナーって言えない」というのではなく、我が子に「人間」をとことん味わって欲しい。これが私の願いであり、子どもと接していく上で基本に置きたいことだと思いました。

 そしてこうもおっしゃいました。
「私達は完璧な人間ではもちろんありません。失敗もあれば、(子どもに対して言ったことや行った行為で)後悔することもある。でも常に親が自分を見つめ、努力し、前進していくということをしていれば、子どもはそういう親のことをきちんと見ています。」

 子どもは本当に親をよく見ている。逆に気が抜けない!?とも思えるのですが、特に嫌なところだけ真似てみたり、見ていたりする我が子を見てつくづく考えます。

 例がテレビだけになってしまいましたが、本当のお話はもちろん多岐に渡っていて素晴らしいものでした。穏やかに語るダークマー・リカーさんと見事な通訳をされる鳥山雅子さんが印象的でした。



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