18 えと・おーるつうしん18号 [2001.9.15] ■シュタイナー教育と私
■シュタイナーとの出会い
■ふぞろい野菜村便り
■口先徒然草3
■最近のいろんなこと
■長男の椎間板ヘルニア
■不思議日記-2-


不思議日記-2-             by NAGI


PTAはコミュニケーション修行の場?

中学校のPTAでは、しばしば「言葉が通じない」という経験をする。考え方、受けとめ方にこんなに差があるなんて。一筋縄でいかない不思議なところだ。でも私にとって、そこは、気が重いけどおもしろいところ。だって、まわりにすぐ合わせてしまう私が、孤立するという状況でも自分を通していけるか、どこまで自分をいつわらずに「伝えて」いけるか、試せるから。そういえば、平井雷太さんもPTAを言葉の通じない世界ととらえ、それだけに、伝えることとか人間関係とかを学べる場だとおっしゃっていた。

本音は「楽しい観光旅行」がいい

年度始めの会で、何十万円もかけて遊びの旅行なんて、と切り込んだが、交流に意味があると反論された。研修というからには、新しい試みをしている学校、施設を訪ねてそこの先生や保護者と話し合う、とか、講演会に参加してそのあと交流や意見交換の食事会をするとか、思ったんだけどな。実際には、「そんな企画をしても誰も参加しない」と言われて、却下。それなら農業体験ツアーでもと思ったが、手を挙げたのは私だけ。すったもんだしたが、結局、例年通りの観光旅行に決まった。各役員さんに話をしていくことは、思った以上にエネルギーと時間が必要だ。一朝一夕には無理。部長の私を支持してくれている3年役員団ですら、本音はお楽しみ旅行でいいという。こんな中で、押し付けず、でも自分を通していけるかな。

「池の水」が濁るのがこわい?

学年懇談会(学年団の先生方と役員の会)を開いた。これは、私の「しかけ」が効を奏して(?)、本音の会になった。「初めて保護者とこんなつっこんだ話をした」と言う先生もいた。「会の内容を役員7人だけが知っているというのはもったいない、3年の保護者全員に知らせよう」と、6ページのまとめを作った。今、学校で起こっている問題をみんなに伝え、考えてもらいたいと思った。先生方にチェックもしてもらった。他の役員さんも「これはすごい」と、うなった。

しかし、そのまとめは、実際に出されることはなかった。あまりに本音過ぎて、波紋がこわいという理由だった。泥沼に石を投げてますます濁る結果になりかねないという、指摘があったのだ。問題が起こったとき(読んだ親が怒ってくるとか)が、関係を深めていくチャンスだと思うんだけど、と言ってみたが、そうはうまくいかないと言われた。

一時的にはもっと濁っても、泥をかき出さなければほんとうには池はきれいにならない、と思うのは理想論? 問題だらけが問題とならない不思議な世界「学校」。先生と話していても、ますます不思議は深まるばかり。

今どき中学の教師ほど大変な職業はない、という。ほんとうだろうか。乗り越えるエネルギーがないのなら「大変でない」仕事にかわったらいい。そうなってほとんどの先生が辞めることになるとしたら、それこそ、教育を見直す突破口になるだろう。 

新しい案を持って学校に行くたびに迷惑そうな先生の顔。私にとっては「萎える気持ち」との戦い。

ええっ?いつの間に講演会が?

研修旅行は観光旅行になったが、教育講演会も開くことになった。これは、今年が初めて。3年の役員が、役員会攻略のシナリオを用意してきて、あれよあれよという間に、講演会も今年度企画の中にいれてしまったのだ。研修旅行は遊びでも言っていた彼女たちが、動いたというのだからわからないもんだ。

とりあえず、うちの中学校で12月1日(土)午後、「鳥山敏子講演会」が開かれることになりました。一般開放、無料の会なので、みなさんご参加ください(次号で案内します)。

「石」は消えたわけではなかったのか?

私の投げた一石は、大きな泥沼の中に消えたと思ったが、どうやら思わぬ形で波紋を広げているらしい。3年の役員さんの手で「親子バーベキュー(部活)」(いいなあ、中学生になって親子で参加することはめったにないのに)や、お菓子教室が企画されている。これも初めてのことらしい。

私のイメージしたPTA活動とは違った形だけど、まあそれもいいか。私の「正しさ」を振り回しても、うまくはいかない。PTAの場で抱いた「不思議感覚」を大切にして、みんなの中で「私」をいつわらない練習をしながら、投げた石の行方を見ていこうと思う。



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