先日、「はこべ会」企画で、「ようこそ絵本の世界へ」と題して講演会を開催しました。幼児期、絵本を読み聞かせることがどんなに大切かを、改めて納得させられたとてもよい内容 でした。今回、わたしの感じたこと、印象に残ったことを簡単にまとめてお伝えしたいと思います。
こどもは、「行って」、「帰ってくる」ことができるお話が大好きで、暗唱しているストーリーでも、何度も何度も読んでもらいたがります。物語のなかで主人公と一体となって、ハラハラしたり、ドキドキしながら冒険の旅をして、最後はほっとできるのがうれしいのです。子供はこの「ああよかった」という安心を何度も味わいたいからです。
「安心できる場所」で、「安心できる人」に読んでもらい、「安心」を何度も体験すること、幼い日にたっぷりとあたたかいものに触れておくことが、成長して社会で生き抜くためにはなにより大切なのだと聞き、絵本を読み聞かせることの大切さを再確認しました。それは、ベーシック・セキュリティーを形成するのにとても有効だったのです。
現実にはあり得ないおはなしの展開であっても、主人公と一緒に冒険の旅をして、そして必ずもとの場所に戻り、「ああよかった」と思うこと、この、あたたかさと安定感のある絵本は、それを何度も何度も繰り返すことによって、子供のこころも同じようにあたたかさ、安定感が育まれていくのです。そうすることによって、ベーシック・セキュリティーは形成されていくのではないでしょうか。
どんな絵本を読み聞かせたらいいか迷ったとき、長く読み継がれている絵本を選ぶことはとても大切です。そして、人生に対して肯定的で、あたたかく、明るい内容であること。
大人は新聞の書評などで、新刊書を求めますが、子供はそんな書評で絵本を選ぶことはありません。ですから、子供の本は、受け入れられるのに時間がかかります。
絵本にはベストセラーはありません。いい絵本は、ロングセラーとなって、親から子へ、子から孫へと受け継がれていきます。
絵本の歴史は浅く、世界を見渡しても、たかだか100年ほどに過ぎなくて、たとえば最も早期出版の「ちびくろさんぼ」が1900年(?)、「ピーターラビット」が1902年。今でもお馴染みの絵本ですが、いい絵本は、国境も時代も関係なく、子供たちに読み継がれているのですね。
ベーシック・セキュリティーとは
「エリクソン、E、Hによって提唱された心理社会的発達段階の8段階のうち、最初の段階の発達課題。この時期に、主たる養育者による養育行動や対人関係の中で、安心感のある一貫した態度を受け取ることにより、乳児が養育者に対して肯定的な像を持つことができれば、その感情が人間に対する基本的な信頼感を形成すると同時に、自らへの信頼とさまざまな能力への信頼を形成すると考えられている。」(宮迫千鶴著・「円環する男と女」から借用)
新聞社会面の悲惨な事件から家庭内のトラブルまで、ネガティブな問題は、ベーシック・セキュリティーさえ形成されていたら、回避したり、乗り越えたりできるものが多いような気がします。
こどもたちを取り巻く環境は大きく変わってきています。かつて、同居する大家族の中で、昔話を聞いたり、遊んだり、肉親と触れ合う時間が多かったはずですが、今は核家族で、きょうだいも少なく、ゲームなどでひとり遊びしながら過ごすこどもたちの心はどのように形成されているのでしょうか。
講師が資料として用意していた詩のうち一編をご紹介します。
「自分の感受性くらい」
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
いらだつのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子「おんなのことば」(童話屋)より
講師に、「一番言いたいことはなに?」と質問したら、「なにもかも間違っている」とひとこと。きっと、この詩は彼の思いを代弁しているんだと勝手に解釈しましたので。
3原色で絵を描こう! 4回シリーズ第4弾
絵が描けたらいいなぁ〜、と思う時、ありませんか?そのまま描けたら、どんなに、すっきりするでしょう。そんなあなたへ。すてきに、絵が描ける方法があります。
まず、自分が楽しんで描くことを学びます。
道具の使い方、色の作り方も、いっしょにやってみましょう。
いまさら絵なんて、と思っているあなたも、描ける喜びを、感じてみてください。
大人も子どももごいっしょにご参加下さい。
日 時: 6月〜9月 14:00〜16:00
1回目 6月25日(日) 色づくり(基礎コース) 紫陽花(応用コース)
2回目 7月16日(日) もやし(基礎コース) すいか(応用コース)
3回目 8月27日(日) イカ(基礎コース) 髪の毛(応用コース)
4回目 9月24日(日) 毛糸のぼうし(基礎コース) ぶどう(応用コース)
会 場 : 岡山市立福浜公民館(岡山市福富中)
参加費: 1500円/1回 (4回連続で申込の方は5000円)
※初めての方は初回に筆セット(830円)が別途必要です。
講 師 : 後藤裕子さん、椋代厚子さん(あーと・いん・きっちん)
持ち物 : お申し込みの際、ご確認ください。
申込先: ヨコタ(090−2094−5134)
主 催 : アトリエ21℃
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