これはいけません。いきなり涙があふれてきました。おまえがだれなのかわからないけど、「死んだあとでようやく愛し始めるんだ」と素直に思えるような歌声が谷川さんの詩を届けてくれました。そのあとは「死んだ男の残したものは」「星に願いを」「What a wonderful world」でした。最初の曲はベトナム戦争当時の集会で歌えるように谷川俊太郎さんと武満徹さんが作ったものだそうです。あとの曲はすばらしい世界を称える歌。哀しい歌喜びの歌、どれもすばらしかった。主義主張を熱く語るのではなく、その歌のやさしさに、その声の力強さに平和を感じた。平和と言う言葉は一度も聞かなかったように思うが、言葉やメロディやしぐさから感じたものが平和だった。小室さんはなにを伝えようとしたのかわからないが、たとえば戦争を終焉さえ、あるいは回避したあとで実現したいもの、小室さんの歌はそれをすでに実現していたように思う。その実現したかったもの、ほしかったものには感じた人が名前をつければいいのではないか、そんなことを思った。はじめに平和集会があるのではなく、「聞いたり話したり歌ったり踊ったりしたことが平和だっだね」というように。