31 えと・おーるつうしん31号 [2003.11.15] ■竹内敏晴レッスン
■交流広場より
■べてるの集いを終えて
■口先徒然草16
■旅物語 らくだに乗って
■それで順調!


「竹内敏晴 からだとことばのレッスン」へのお誘い
                by コミュニケーションを考える会


相手に声が届くとは、
こえで相手にふれるのだ(竹内敏晴)


 初めて竹内レッスンに会ったときは,何がなんだかわかりませんでした.
 2回目に,「届く」と思っていた自分の声が実は届いていなかった,あるいはこちらが思っていたようには届いていなかったということを体験し,愕然としました.自分自身がはがされていくような感じさえしました.真実を知らされた瞬間でもありました.
 以後,コミュニケーションというものを真剣に考え始めたような気がします.もちろん,いまだにちゃんと相手に伝わったかどうか自信がないことばかりですが.
 ただ,大切な人,大切な場では,伝えるということにていねいになっているのは実感しています

竹内敏晴プロフィール
 1925年生まれ.東京大学を卒業後,演出家として活躍.竹内演劇研究所開設.また,宮城教育大学,南山短期大学などで教鞭をとる.
 自身の言語障害者としての体験をもとに演劇的手法による心身の治療を手がける.「人と人とがじかに触れ合い,コミュニケーションすること」「人が人であることの源」を生涯かけて追求してきた.
 著書に「ことばが劈かれるとき」(思想の科学社),「子供のからだとことば」「思想するからだ」(晶文社),「からだが語ることば」(評論社)など.
今年7月には「からだ=魂のドラマ」が発刊された.
 昨年,山陽新聞に「ことばと声と人生と」が連載されて好評を博した.


前 回 の 感 想 か ら

 2人1組になっての「身体ほぐし?」はとても気持ちがよく、自分が軟体動物にでもなったような感じがしました。肩の関節などはこんなに動くものなのかと、普段いかに自分が身体を使っていないのかに気づきました。他に気づいたことは知らず知らずのうちに身体に力が入っていること。「力を抜こう、抜こう」と思っても逆にダメなので、頭で考えてどうにかなるものではないなと思いました。それと相手を信頼することも大事ですね。初めて会った人に自分の身体を任せるので心配だったんですが、何も考えないことと、経験のあるパートナーだということが分かり安心して任せることができました。

                  *      *      *

 初めて竹内さんから直接、指導していただける機会に恵まれて本当に幸運でした。受けるまえに漠然と感じていた不安(集団の中で浮く事や竹内さんの言われる事が理解できるだろうか、難しい事はよくわからないし、など)が私の勘違いだと言う事が、講演会を聞きレッスンを受けて分かりました。竹内さんのお話もレッスンも私の中にストーンと入ってきました。分かるとか分からないとか、皆の中で浮くとかそんなことどうでも良い事でした。私がどう感じるか、どう思うかその事が大切なことです。この二日間の感想は楽しかった、気持ち良かった、です。色々言葉にできない、しなくて良い、体で感じる気持ち良さです。体を研ぎ澄ませて感じる事の楽しさとか気持ち良さはなんともいえない、今まで知らなかった感覚です。

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 本当にいろいろなことがあった内でひとつだけ。相手に届く声、相手の心と体にしみこんでいく声がある、といわれた。そしてレッスンの間でたしかに「こういう声のほうが心に響いてくる」という経験をした。「声」と言ってもテクニックとしての発声のしかたではなく、声をだす人が相手にむかう態度、というか相手にむかう存在の仕方から変わるのだけれど。
 日常、ずっとは無理だけれど、時々には「いまの私の声は相手に届く声になっているだろうか」と意識することはできる。相手に届く声にしよう、と思ったら話す態度も相手にぶつけるような態度ではなくなる。自分の意識の中心が、相手とうまくいかないイライラ感から「相手に届く声」に移ることで、イライラも少なくなるような気がする。



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