34 えと・おーるつうしん34号 [2004.05.20] ■「自転車でいこう」
■ぼけて幸せって本当?
■ふぞろい野菜村便り
■口先徒然草19
■旅物語 らくだに乗って
■こんちゃんのこの世的...
■うらじゃ踊り連募集!


「自転車でいこう」上映会  by 「自転車でいこう」実行委員会


 ドキュメンタリー映画「自転車でいこう」
  ―自閉症の在日2世青年と街の人々の触れ合い物語―


  日 時:6月20日(日) 一回目 11:00―13:00
                     13:00−14:00・・・杉本監督のフリ―トーク
                二回目 14:30―16:30
  場 所:ライフパーク倉敷 大ホール
  連絡先:レモングラス(倉敷市福田町古新田64-1)
  電話・ファックス: 086-456-6336


「このままつっ走るねん」              NAGI

 知的障害を持ったプーミョンは,まっすぐに相手の中に入ってくる.
 行きたいから行く,しゃべりたいからしゃべる,分からないから尋ねる―.
 竹内敏晴さん(からだとことばのレッスン主宰)が,人と人が出会うとき「直かに触れる」のは「障害者」や「幼児」だと書いておられたのを思い出す.
 私たちは人とのつきあいのなかでめったに「素(す)」にならないという気がする.気使いとか,遠慮とか,恐れとか・・・いろんなものがあって,相手と自分の間にガラスを立てる.相手は見えるけれど,本当には触れない・・・.

 ここには「素」になって直かに突進して来られたらどうする?という問いがあった.「素で出会う,直かに触れる」―どうでしょうか? 見ている私のなかに「逃げ出したくなるわたし」がいるのを白状します.
 それに対してこの街の人たちは・・・「素」でプーミョンに対している.この街の人たちは,彼に遠慮しない.障害者だからやさしくするとか,大目に見るとかいうことは,しない.それぞれに豊かとはいえない生活を精一杯生きている人ばかり.だから,ときには,プーミョンは本音でうっとうしがられ,怒られ,「あっち行って」とか言われたりもする.いいかえれば,そこには「素」で出会う対等な姿がある.
 だからこそ,プーミョンは,自転車に乗って町に出て行く.ひとに出会いに行く.

 実行委員会のメンバーのMさんが言った.「プーミョンはわたしだ」 病気で死線をさまよった経験があり,今もその影響を背負っている彼女は,病から生還したあと,人の中へ無性に出て行きたいと思うようになったと言う.遠慮や,建前を捨てて,みんなと「素で」出会いたいと.彼女が笑った.だからこの映画に惹かれるの.「このままつっぱしるねん」よ.


---    by K.N (「自転車でいこう」実行委員会)

前回、ドキュメンタリー映画、「自転車でいこう」自主上映会開催のお知らせをしました。今回も、その後の「自転車でいこう」と、協力のお願いです。

前回はストーリーを知らなかったのですが、3月25日、ビデオ試写会で、なんだかとてもやさしい心地よい気分になれました。それは一月以上たった今も続いています。この映画には不思議な暖かさがあります。もしも、障害なんて自分とは無関係と思っている人がいたら、そう思っているすべての人に観ていただきたい映画です。

「障害の有無に関係なく、違いを受け止めて暮らすのが大人だと思う」
自転車で生野の街を疾走する自閉症の青年プーミョン(20歳)と、彼を取り巻く街の人々との日常を描いているのですが、登場するすべての人々が自然体で、慈しみに満ちたかけがえのない人々であることが、観る側も一緒に暖かい気持ちになれるのでしょうか。

「障害があろうがなかろうが君は君のままでいい」

監督のこのメッセージも気に入っています。「若かろうが老いぼれだろうが」「美しかろうがブスだろうが」「有能だろうが無能だろうが」とさまざまに言い換えて、すべてあるがままでいいと自己肯定できることはなんとすばらしいことでしょう。
わたしはわたし以外の何者にもなれない。あるがままの私を私自身が受け入れることから豊かな人生が拓かれる、この映画のビデオ試写会を終えて、心地よい暖かさがこみ上げてきたのはそんな私自身へのメッセージが伝わってきたからでしょう。
プーミョンは、生き生きと彼自身を生きています。彼のそのままを受け入れる街の人々の眼差しの暖かさは観客である私にも暖かく伝わってくるのです。
障害者の日常を見ながらこんなに笑っていいの?と思えるくらいよく笑いました。
「だれもが混沌とした事情を抱えながらも、必要以上に立ち入らないで、ほどよい距離を保ちながら付き合っていく」という監督の視線を通して映し出されたこの街には幸せの処方箋がある。
「自転車でいこう」ウイルスが日本中に広まって欲しいなと願っています。

「自転車でいこう」というタイトルは「エコライフ」の勧めとも思われて、話題はサイクリングの楽しさに発展したりして、思わぬ展開を楽しんでいます。もう何人もの「自転車大好き」という人たちに会いました。この映画の上映会をきっかけに自転車愛好家も増えるのではないかとそちらも密かに期待しています。
いい映画に出会えて幸せです。それ以上に、いい仲間とこうして自主上映会を準備できることを今とても幸せに思っています。二回上映、1000人の人と感動を分かち合いたいと大きく目標を掲げました。
ぜひ観に来て下さい。



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