24 えと・おーるつうしん24号 [2002.09.10] ■「アニミズム」という希望と…
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口先徒然草 9 「夏休み宿題大作戦」      by T.S

 夏休みも終盤にて、この時期になるといつも「宿題」の問題が起きる。私の時もそうだけど、夏休みの宿題とか自由研究とか工作、絵等々の宿題は止めて欲しいね。これは子供達にとって負担意外の何物でもなく、ひいてはお父さんの負担につながり、仕事が終わって疲れた体で夏休みの宿題を「さも子供がしたように」不器用に手伝わなければならない。そんな我家の自由研究大作戦の話など少し。

 我家の小学二年生の長男坊は学研の「科学」を購読していて、今月号は「夏休み自由研究セット」の付録が付いていた。なんでも「蟻の巣」が良く見えるような細長く平べったいプラスチック・ケースで、小学生でも簡単に作ることが出来るような物だった。
 そんな付録を見ながら「ハイハイ、これをお父さんに作ってもらって「蟻」の自由研究をしなさい。」って長男坊に家内が話してます。
 「あれれっ、私が研究係りになるのかぁー」と思いながら長男坊と一緒に外に出て蟻を捕まえる事に。

 まず学研の「科学」の付録に付いていた「蟻を呼び寄せる「甘い液体」ってのを容器に入れて蟻を捕まえることにする。
 でも、その容器を仕掛けて一日が経ち、二日が経ち、待てど暮らせどさっぱり蟻は容器に入って来ません。蟻の通り道に容器を置くのだが、蟻は見向きもしないで通り越して行く。
 「お父さん、蟻が一つも捕まらん」と長男坊は言います。
 「ほんならカリントウでもいれるかぁー。」と言って容器にカリントウを入れ替えて仕掛けます。でも、蟻は見向きもしません。
 すると家内は「カリントウを入れてるだけじや駄目で、このカリントウを少しなめて、カリントウの匂いを醸し出すと蟻が来る」と言い、少しなめたカリントウを入れてみると、その夜には一杯の蟻がカリントウに集まってました。
 「ホイホイ、蟻が集まった、集まった」と喜び早速に「蟻の巣ケース」に蟻を入れてしまいます。
 そして、翌朝驚いた事に蟻達は一夜にしてほぼ巣を作っていました。容器が小さいことも理由なのでしょうが、ほぼ蟻の巣は出来あがっていました。長男坊と一緒に「ほうほう、すごいねえ」と感心しています。

 蟻って何が凄いって、ずっと「働きづめ」で全く休まないんですね。とにかく終日、穴を掘りつづけケースの中は次から次へと細い蟻の道が出来上がって行きます。この,仕事に対する真面目さと言うか、この蟻達は「何の為に働いているのだろうか」と思えるほど働き続けます。
 以前に「ケチで有名な大金持ちの人」に「何でお金を貯めるのですか。」と聴いたら「「お金を貯める」為に「貯めている」」と答えたそうですが、蟻達に「何で働くの」と聞いたら、やっぱり「働く為に、働く」って答えが返って来るのだろうか。

 そんな、こんなで日が経ち長男坊に「ところで自由研究は終わったの」と訊くと、彼は思い出し様に「あっ、そうだ」とか言いながら階段を駆け上がり、そして暫らく後、又駆け下りて来て、「お父さん、蟻が全部死んでる」と言うのです。
 あれあれ、2階に上がって見るとケースの中には働き続けて過労死した蟻経ちの亡骸が埋まっていました。
 長男坊は「お父さーん、宿題をする前に蟻さんが死んじゃった。」と悲しそうに言います。つまり、彼は蟻を見ながら驚き続けて、それだけで時間が経ってしまって、自由研究をしていなかったのだ。

 「ひぇー、捕まえた時に宿題くらいしとけょ」と思いながら、本日は既に8月30日…。
 さてさて、もう1度蟻を捕まえて巣を作って、それを適当に研究したように書き上げて…間に合うのだろうか。

 城内的「付け焼刃生活」は、果てしなく続くのだ…。



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