「これはおばあちゃんが一人で考えた、へんてこな話だと思って聞いてね。 人がこの世に生まれてくるとき、みんな2つのコップを持ってくるのよ。 一つのコップには水がいっぱいに入っていて、もう一つのコップは空なの。 そして、生きていくにつれて、水の入っているコップから空のコップにだんだんと水がそそがれていくの。 水の入っているコップの方が空になったときに人生が終わるんだけど、 でもね、その時もう一つのコップには、注がれた水以上に沢山の水があるのよ。 その水はね、人から親切にされたときとか、幸せを感じたときとかにも、コップに注がれるの。 だからね、コップには水が沢山注がれていっぱいになって、あふれだしてくるの。 そのあふれだした水をね、おばあちゃんは他の人のコップに注ぎたいの。 そして水を注ぎ終わったら“あぁ、終わったなぁ”って、この世を離れていけると思う。 だから、最後まで精一杯することができる状態でいたいと思うの。」